トロンボーンの奏法は、ジャズには難しいとされている。
でも、やってできないわけじゃない。
なら、みんなでいろいろ考えましょう。


第一回 ハイトーンの巻

 
ジャズを演奏する上で、ハイトーンが出せることは、トロンボーン吹きにとっては絶対条件の一つといえるのかもしれない。その理由は、以下のようになる。
1)スライドアクションのリスクを減らす。
2)音にめりはりをもたせる。

たいしたことはないように思えるが、これを克服しないことには、ジャズはできないという、もっとも根底にある問題だといえる。




1)スライドアクションのリスク
 トロンボーンで素早いフレーズを吹こうとすると、どうしても、低音では遠い位置のポジションに移る必要が出てくる。
 たとえば、Low B♭をふいて、次にCに移るとき、どんなに手を速く動かしても、音にすき間ができてしまう。もちろん、F管を使えば、少しは楽になるが。だが、高音域ならどうだろう。
たとえば、第一ポジションの倍音を考えよう。

ペダルB♭ ,LowB♭ ,F ,B♭ ,D ,F ,A♭ ,HighB♭ ,HighC ,HighD ,HighE ,HighF ,HIghG......
 少し見にくいが、高音になるにしたがって、音が近くなっているのがわかるはずだ。
 スライドを1ポジションずらせば、半音下がるという楽器の特性を考えれば、Fよりも上の音域を使うのなら、1〜3のポジションだけで、ほぼすべての音をカバーできることになる。これによって、スライドのアクションを減らせるということになる。つまり、なめらかなフレーズを吹くこともそう難しくなくなってくるという事になる。


2)音のめりはり
 トロンボーンは音が低音だから、シャープさがない。
 こんなことを言われたことはないだろうか。
 まったくそのとおりであり、それがトロンボーンのやさしい音色の特色であるのだから、それをなくしてしまう事はナンセンスだ。しかし、そればかりでは、さまざまな音楽的な要求に応えられない。やはり、自由に楽器を使いこなしてこそ、ジャズを演奏できるのではないだろうか。
 こういった、問題を最初にクリアしたのは、ほぼ間違いなく、J.J.JOHNSONだろう。彼は、高音中心のなめらかなフレーズで、あっさりとビバップをこなしてしまった最初の人物である。初期の彼のプレーはまさしく、クールでかっこいい。高音中心で、曖昧な音色など、ほとんどなきに等しい。
 低音が悪いのではなく、高音を使うことによって、さらに音楽性を高める事につながるのではないだろうか。

少し強引だったが、高音の重要性については理解できただろうか。

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