アドリブとは...

いわゆるアドリブってなんだろうか?まずそのことを考えてみれば、わかりやすいかもしれない。

アドリブを出来ないという人の多くが、 アドリブの出来る人はみんな、頭の中ですごい理論的なことを考えていて、魔法使いのようなプレイをしていると考えているようだ。実はそんなことなくて、たいしたことをしているわけではない。

アドリブという言葉は、本来、ジャズのアドリブとは違う。音楽用語にもあるように、「自由なリズムで」という意味である。正確には、ジャズのアドリブは、即興演奏を意味する、”Free Improvization”が正しい。

では、即興演奏って、どういう具合にやっているのか?これを考えるために、漫才や落語を例に考えてみようと思う。

落語では、お題を頂戴しますといって、時事ネタなどを複数、お客から受けて、それを元に笑い話を作るような場合がある。漫才だって、即興でコンビを組んで、面白い話をするというのを、テレビなどで見たことがあると思う。

ジャズの即興演奏はこれに近い。

まず、お題がでると、その話をなんとか自分の芸の中で持っているライブラリの中から、つなげていき、笑いを作ろうとしているはずである。舞台に上がるときは、オチだけを考えて、後の話は簡単な流れしか考えていないはずである。経験的に次はこの話にしてやろうと、いろいろ工夫をしながら、話を作っていくわけである。

漫才でも同じだろう。相手のキャラクターと持ちネタを考えながら、お互いに言葉をやり取りしていく。もちろん、単に話しているだけでは、芸にはならない。お互いに面白くなるよう、経験と持ちネタを織り交ぜながら、笑いに導いていく。

ジャズも同じである。まず、コードやスケールといったテーマがあり、その中で展開を考えながら、自分のライブラリの中にある言葉をつむぎながら、ソロを作るわけである。何もないところから芸術的な言葉が出るかというと、そんなことは出来ない。

ジャズという言葉を話すことが出来、それを正しいシチュエーションで使うことが出来るか、ということにかかってくるわけである。


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